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最高裁判所第三小法廷 昭和46年(行ツ)68号 判決

東京都港区東新橋一丁目一番二一号

上告人

株式会社 今朝

右代表者代表取締役

藤森紫朗

右訴訟代理人弁護士

岡部勇二

東京都港区芝五丁目八番一号

被上告人

芝税務署長

葛間寛

右指定代理人

二木良夫

右当事者間の東京高等裁判所昭和四三年(行コ)第三一号法人税額等の更正決定取消等請求事件について、同裁判所が昭和四六年五月三一日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人岡部勇二の上告理由について。

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、右違法を前提とする違憲の主張は、失当である。論旨は、独自の見解に立つて原判決を非難するものであつて、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高辻正己 裁判官 関根小郷 裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝 裁判官 江里口清雄)

(昭和四六年(行ツ)第六八号 上告人 株式会社今朝)

上告代理人岡部勇二の上告理由

原判決には事実を誤認し、法令の解釈適用を誤つた違法があり、右は憲法一四条および憲法三〇条違反の違法があるから、原判決は破棄され、上告人の本件請求は認容されなければならない。

そもそも、本件更正処分は、被上告人が民法および土地収用法(以下単に収用法という。)における「収用」と「使用」についての法令の解釈適用を誤り、その結果、事実を誤認し、租税特別措置法(昭和三七年法律第四六号による改正前のもの、以下これを措置法という。また、右改正後の法律を新措置法という。)の解釈適用を誤つて、違法な更正処分をしたのに、第一審および原審は、上告人の主張、立証に対し、これを誤解して被上告人の法令の解釈を是認して、上告人の請求を棄却する違法な判決をなしたが、原判決は国民常識においても、明白な誤判である。

第一、地上権取得補償金について

一、本件地上権取得補償については、先ず民法において、所有権は自己の土地を使用、収益、処分できる権能であり、地上権は他人の土地を使用できる権能であるところ原審は、収用法の「使用」の用語が、右民法の使用と同一であると誤解して、これが法令の解釈適用を誤つたものである。

上告人は本件土地に地上権を設定したのであるが、右設定に伴つて、東京都から取得した六〇八万円の補償金が、措置法の「収用」に該当するものであると主張したが、被上告人は「使用」に該当するものであると主張したもので、右「収用」、「使用」の解釈が本件訴訟の争点である。

二、法人税は所得(収益)に課税するものであつて、資産(資本)に課税するものではない。従つて、法人税は土地という資産に課税するものではなく、地代=使用料=収益に課税するものである。そして、使用料即ち所得に課税されたときには資産は永久に減少することがないのである。

しかしながら、土地が売却されたときには、値上り益があるため経理上、所得が発生することになるので、措置法六四条は資産の買換という制度を認めて、値上り益による所得が発生しないものとしている。

しかして、法人が代替資産を取得しなかつたときには、右値上り益による所得につき措置法六四条の二で二分の一の損金算入を認めて、資産課税の不利益を是正したのである。

してみると、本件補償金が地上権の買取の対価であるか、又は土地の使用料の一時払であるかによつて、法人税課税上は、根本的に差異があることになるものである。

従つて御庁においては、この点を十分に理解していただきたい。

三、上告人は本件補償金は、地上権という資産が東京都によつて買取られたのであるから、収用法および措置法の「収用」に該当して、措置法の特例を受けるものであると主張、立証した。

ところが、原審は、地上権の設定は使用権の設定であるから、「使用」であると判断したのである。

四、原審は、本件地上権は本件地上権設定契約書(以下単に契約書という。)によつて行われたから「使用」であると判断したものと認める。

なるほど、民法の地上権の規定は地上権を設定契約によつて取得する場合を規定しているが、地上権は地上権そのものの売買によつて取得して設定することができるものである。

しかして、本件契約書は不動文字の契約書で「地上権設定契約」となつているが、右契約書は素人が作成したもので、その実質は地上権の売買に該当するものであるから、「資産が買取られた場合」に該当し、「収用」に該当するものである。

地上権が売買されたときには、右地上権は当該土地所有権から分離して永久に買主に帰属して了い、将来、所有権に自動的に復原することがないのである。

五、原審の誤判の原因は、「地上権の売買ということは、あり得ない。」また「土地については、土地所有権のみが取得収用の目的物となるものであつて、地上権は取得収用の目的物とならない。」と誤解したことに基づくものである。

してみると、本件の争点は、本件補償金六〇八万円が地上権の売買の代価であるか、地上権に基づく土地の使用料であるかによつて決定する。

使用料の場合は毎年所得に計上されることになるが、代価の場合には、ただ一回の代価の支払があるのみである。

そして、売買代価である場合にはその全額で代替資産を取得したときには所得が発生しない制度になつているのである。

しかして、収用法は収用補償即ち代価補償については七二条に、使用補償即ち使用料補償については七三条によつて、これが算出基準を定めているのである。

しかして、右七二条によつて、本件補償が収用補償に相当するものであることは、明白である。

仮りに、本件六〇八万円が収用法七三条の土地使用の損失補償であるならば「その土地及び近傍類地の地代、借賃を考慮して相当な価額をもつて補償しなければならない。」という「相当な価額」は、具体的にいくらであるのか、また、右「相当な価額」の何年分が六〇八万円となるのか。

原判決は右相当な価額を認定することなく、また、六〇八万円が何年分の補償であるかを認定することなく、本件補償が使用補償であると断定しているが、右断定は違法である。

六、原審は地上権には消滅収用のみがあつて、取得収用がない。従つて、本件補償は「使用」であつて「収用」でないと判示しているが、右は違法である。

上告人は本来ならば収用法八一条一項の拡張収用請求権を行使して、本件地上権の収用請求ができることを前提として、東京都に対し本件地上権の買取を請求して、本件地上権の取引価額である六〇八万円で買取らせたのである。

右八一条一項を正当に解釈したならば、本件地上権は「使用」でなく「収用」されたものであることは容易に理解できるところである。

しかして、右八一条一項但書は「空間又は地下を使用する場合で、土地の通常の用法を妨げないときはこの限りでない。」と規定しているが、右但書は、この場合は、土地所有者は土地所有権の収用を請求することができなくて、右土地所有者の一部である地上権の収用を請求できることを規定したものである。

換言すれば、本件地下鉄の場合には上告人は地上権の収用請求をすることができるのみであつて、土地所有権の収用請求をすることができないということである。

本件地下鉄の場合は、契約書九条において、「地下鉄道構築物上に、直接建物の基礎を築造するときは一平方メートルにつき九屯以下の荷重とする。」と約束しているため、今朝ビルが地上九階、地下一階建であるのに本件土地の部分には、地上二階建のビルしか建てられなかつたのである(甲第九号証)から、所有権の一〇分の八が地上権に分離されたもので右但書の「土地の通常の用法を妨げる場合」に該当し、地上権の収用請求ができたのであつて、上告人は正に右但書に従つて、本件地上権の収用請求に相当する買取り請求をしたのである。

七、原判決は「控訴人において本件土地の使用が土地の使用によつて土地の形質を変更するとの理由で本件土地の収用に代わる買取りを求めた形跡はない。」と判示しているが、右は明白な事実誤認である。

前記のとおり一平方米荷重九屯の制限は、明白に収用請求の理由であつて、本件地上権補償が坪一〇〇万円の合計六〇八万円という大金の補償金が支払われた事実は上告人が買取請求をなした事実を立証するものであつて、原判決は争いのない事実として右六〇八万円を認定している。

更に、第一審判決は「次に地上建物の一時移転については、東京都は、はじめ工事区域にかかる部分だけを一時解体することを考えていたが、これは原告が承諾しなかつたので、右工事区域にかかる部分と一体になつている二階建の部分全体、延八三坪を取り壊し及び工事期間中の工事区域の使用に伴う一切の補償として三、〇〇〇万円以上を支払うことで、昭和三六年一〇月末頃、原告の承諾を得た。」との争のない事実によつて、被上告人が上告人につき、地上建物についても、拡張収用を請求した事実を自認したことを争いのない事実として明白に認定しているのである。

右の「これは原告が承諾しなかつたので」という事実は、「原告が東京都の申出を承諾しないで拡張収用を請求した事実」を認定したものである。

八、してみると、原判決の「地下鉄事業が……永久に存続するものとは到底断じ得べきものでない。」とか、「営業期間の終了により本件地下部分は控訴人に返還されることが明らかである。」とか、「わが国の現行法制のもとにおいて、未だ他に地上権を設定していない土地所有者から地上権を収用し、もしくは収用に代えて買取るという法理は認め得ない。」との判示は、誠に、国民常識に反し明白に事実を誤認し、法令の解釈適用を誤つたものである。

収用法八一条は、土地の使用に代る収用請求によつて、地上権が取得収用されることを明白に規定しており、地下鉄の場合には、本件のように現実に地上権の収用に相当する地上権の買取が行われているのである。

ともかくも机上の想像ではなく、現実の地下鉄について国民常識に従つて事実認定をなすべきである。

九、原判決は、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱(以下単に補償基準という。)二〇条の都合のよい部分のみを引用して、本件補償金が使用補償の一時払いであると断じているが、右は誤りである。

右二〇条二項は、地下使用が長期にわたるときは、使用補償でなく、土地所有権の収用補償即ち「正常な取引価額」に、適正な割合を乗じた「取引価額」で地上権を収用することができることを規定したもので、右一時払いとは使用料の一時払いではなく、使用料に代わる売買代金の一時払のことである。

もつとも、一〇年間又は二〇年間使用という場合には使用料の一時払いの方が安価であろうが、地下鉄のように百年以上使用のときに、使用料の一時払いということは経済的に高価になり、意味をなさないのであつて、この場合に起業者は土地所有権の売買代金を基準として、地上権そのものを買取つて、登記簿上は地上権設定と、登記するのである。

一〇、原判決は「新措置法は、地下鉄の使用補償の場合の対価に課税の特例を設けたが、右規定は昭和三七年四月一日前に遡及しない。」と判示しているが、右は誤りである。

右新法は、創設的規定ではなく、上告人主張のとおり、確認的規定である。

ともかくも、上告人は、東京都が本件地下鉄をオリンピツク前に完成しなければならないのであるとの申出に協力して、新措置法が三か月後に施行されることを承知で本件地上権を売渡したものである。

ごねていれば、本件事件は発生しなかつたのである。

しかしながら、上告人は御庁に対し、同情を求めているのではなく、違法な課税に対し、適法な裁判を求めているのである。

要するに、本件請求は、民法、収用法、法人税法および措置法を正当に理解したならば、容易に認容できるものである。

一一、さて、原審が本件控訴を棄却したのであるから御庁が本件上告を棄却する確率は九五%であるので、本件補償金が使用補償であつてその全額に課税できるものであるということが正当であるという前提に立つて、本件を論じてみることにする。

(一) 地上権の取得収用は現行法制上あり得ない。従つて「使用」である。

(二) 上告人が東京都の「使用」に応じなかつたならば、東京都は、地下使用の裁決を申請し、使用補償として年間一〇〇万円又は一〇年間六〇八万円として裁決されるだろう。

ともかく、使用補償は収用補償より低額であることは確実である。

(三) 東京都は右「使用」の裁決に従つて地下鉄を建設することは物理的に可能である。

(四) 地上権の収用さえもできない現行法制の下では、土地所有権の拡張収用ということは考えられない。

(五) 裁決は地下使用権の設定のみであつて、登記は可能である。

(六) さて、本件地下使用の裁決に従つて本件契約書を検討しよう。

1 そもそも、本件契約書のような内容の裁決は、できないし、また、右のような契約をすることも必要でない。

2 上告人は、六〇八万円は一〇年間の使用料の前払いであると争うことができるし、将来、使用料の値上げ請求ができる。

3 本件の「土地の使用は無償である。」という条項はとんでもない。

4 上告人は工事施行のために、地下九米より上部及び地上の使用に応ずる必要がない。

5 荷重九屯以下の制限は使用においては法律上あり得ない。

6 最後に都は地上の本件建物等の補償として三、〇八一万円という大金を補償する必要が全くない。

(七) 前記の法定条件で、土地収用法に従い地下鉄が建設されたならば、上告人は地下一〇階地上三〇階の今朝ビルを建設することもできるのであるから荷重制限がなく誠に有難い。

(八) ここまで論じて来ると、原審および被上告人が確信している国民常識がおかしいことは明らかである。

第二、建物補償金および工作物補償金について

一、本件建物補償金および工作物補償金(以下本件建物等補償金という。)は上告人が拡張収用請求権に相当する権利を行使して、本件地上権の取得収用に相当する収用に代わる買取り権を行使したことに伴い、上告人は東京都に対し収用法七八条の拡張収用請求権に相当する権利を行使して、本件建物および工作物の買取りを請求し、東京都から合計一、六九一万一、二七七円の補償金を得たのである。

二、従つて、本件補償金は措置法六四条一項二号、六五条の二第一項の二分の一の損害算入の課税の特例を受けるものである。

三、ところが、原審は上告人の右収用法七八条の拡張収用請求権に相当する権利の行使であるとの主張・立証(昭和四五年六月一五日付第四準備書面控訴理由の第三の第六項)を全く無視して違法な判決をしたのである。

原審は、上告人の収用法七八条の拡張収用請求権についての主張・立証を故意に無視して、第一審証人深野文夫の証言によつて、本件補償が「移転補償である。」と断定したが、右は誠に、事実を誤認し、法令の解釈適用を誤つた違法である。

四、上告人が収用法七八条の拡張収用請求権を行使して買取りを求めた事実は、前記第一の第七項で述べたとおり、「原告の地上建物の一時移転については、東京都ははじめ工事区域にかかる部分だけを一時解体することを考えていたが、これは原告が承諾しなかつたので……、三、〇八一万円を支払うことで原告の承諾を得た。」との原判決の争いのない事実認定によつて明白である。

五、換言すれば、上告人が収用法七八条の拡張請求権を行使したのでなければ、東京都は上告人に対し、本件建物等補償金を支払う法的理由がないのである。

本件建物が存在しても地下九米以下にトンネルを掘ることは、物理的にも法律的にも十分可能であるのだから、東京都は一、六九一万円の補償金を上告人に対し支払う必要がないのである。

六、原審は本件建物等補償金は「移転料である。」と断定しているが、本件地上権補償が「使用」であるならば、地上の建物の移転補償をする法的理由は全くないのである。「使用」については、収用法八一条一項は前述のとおり、「使用する土地に土地所有者の所有する建物があるときは土地所有者は土地の使用に代わる拡張収用請求権を有する。」ことを規定しているが、同項但書によつて地下使用の場合には「土地所有者は地上の建物の収用請求を求めることができない。」のである。

七、しかして、本件地上権の場合は、右八一条一項の土地の使用が三年以上にわたるときおよび土地の使用によつて土地の形質を変更するときに該当するため、本件地上権の「収用」に代わる買取りが行われたため、右地上権の買取りに伴つて、本件建物等の拡張収用請求権に相当する権利が発生したのである。

換言すれば、基礎に地上権収用がなければ、建物の拡張収用請求権が発生しないのである。

本件建物等補償金は、原判決が争いのない事実として認定しているとおり「本件建物八三坪を昭和三七年三月一日から向う一八箇月間の本件地下鉄工事期間中、他に移転するため取り壊し、工事終了後にこれを原状に復旧するのに要する費用として支払われたものである。」から、取壊し、移転し、一八箇月後に再び取壊し、移転復旧するための二度の移転補償に代えて、上告人は収用法七八条の拡張収用請求権に相当する本件建物等の買取り請求をなし、東京都は右建物等の買取りをなしたものである。

八、よつて、本件建物等補償金については、措置法の二分の一損金算入の特例を受けることができるものである。

九、ともかくも、上告人は本件地下鉄の建設のために、東京都から三、六八九万円の支払いを受けたのである。

ところが、被上告人は、収用法などについては全く無知なため、拡張収用請求権などについては説明しても理解できる筈がなく「地上鉄道ならば二分の一の損金算入ができるのだが、地下鉄道ではできない。」と、愚かな法理論を展開して、本件違法課税をなしたのである。

税務署員が国民から非難される原因は、彼等の国民常識の欠如にあることを、本件は如実に示している。

第三、雑収入計上洩について

一、本件家賃補償金および営業補償金は、前述のとおり、本件建物が収用に代えて買取られたことにより、上告人が同建物に関して有していた賃貸権および営業権が、本件建物の取壊しにより、昭和三七年三月一日から一八箇月間行使できないため、その一八箇月間の収益の補償として支払われたものであるから、右一八箇月によつて、期間按分して計上できる収益である。

二、原判決は、右期間按分を否定しているが、右は本件地上権が「使用」であると認定した結果に基づくものである。

本件地上権の収用が、地上鉄道のように、土地所有権の収用であるならば、その地上建物の移転は、一般に移転先の土地があるため、一、二箇月で終了するから、右一、二箇月間が、補償期間となる。

しかし、本件のように地上権の収用が地下鉄工事に伴う建物取壊しを伴う場合には、本件補償期間は右建設工事期間のため、昭和三七年三月一日の建物移転から一八箇月後の昭和三九年八月末の建物復旧に至るまでの期間が当然の補償期間となる。

従つて、本件補償のように、当然の補償期間があるものについては、右一八箇月の補償期間が事業年度を超えるものであるから、上告人の事業年度に従つて本件補償金は当然に期間按分されるものであり、これが確立された会計原則である。

原審は、家賃収入および飲食店営業収入が期間によつて発生する事実を全く誤認しているものと認める。

三、よつて、原判決が一八箇月間の工事期間および本件建物の復旧に要する期間を争いない事実として認定しながら、これが期間按分を否定するのは、事実を誤認し法令の解釈適用を誤つたもので違法である。

第四、原判決の憲法違反について

一、本件更正処分は、被上告人が民法、収用法、措置法および法人税法の解釈を故意に歪曲して、解釈適用し、故意に違法な課税処分をなしたものであつて、右課税処分の違法は憲法一四条の平等の原則の規定および同法三〇条の納税の権利の規定に違反する憲法違反の違法な行政処分であるところ、原判決は、本件更正処分を適法であると断定したので、原判決には、右同様の憲法違反の違法があるものである。

二、本件更正処分は、地上鉄道建設に伴う被買収者と地下鉄建設に伴う被買収者とを故意に不平等に取扱つて、右後者である上告人に対して違法な課税処分をなした点において憲法一四条の平等の原則に違反するものである。

三、また、本件更正処分は、上告人が法律に従つて適法な申告納税をなしたのに対し、被上告人が、故意に法令を曲解して、違法な更正処分をなして、上告人に対し、法律上納税義務がないのに違法な納税義務を賦課し、更に右違法な更正処分をたてにとつて、上告人をして金六、八二〇、七七〇円の義務なき法人税を納付せしめた点において、上告人の憲法三〇条による適法な納税をする権利を侵害する憲法違反の違法な処分である。

四、よつて、本件更正処分を適法であると断定して、本件請求を棄却した原判決には、右同様憲法違反の違法があるから、原判決は破棄されなければならない。 以上

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